インフォームドコンセントについて
患者さんにとって、わかりやすい治療、納得していただける治療、満足して帰っていただける治療をモットーに日々努力しております。
その手段として、ピクト4(口腔内写真)を取り入れ、納得してもらえるまで、説明し、“インフォームドコンセント”を重要視しています。
つまり、我々と患者さんとの深い相互理解を得て、はじめて診療にとりかかれると考えております。
むし歯
「歯の質」「細菌」「食べ物」「時間」の、4つの要素が重なり合ってむし歯の原因になります。
むし歯の4要素が重なり合う面積をできるだけ少なくすることでむし歯のリスクは下げられます。
飲食前のプラークは中性(pH 約7)の状態です。プラークがある場合に飲食を開始するとプラーク中のpHは急激に下がり、歯が溶けてしまう危険ゾーンである5.5以下になります。
食事が終了し、pHが元の状態に戻るまでの時間には個人差がありますが、約40分くらいの目安となります。
お口の中が「むし歯危険ゾーン」から「健康ゾーン」になるには、いつもお口に食べ物が入っている状態ではなく、食事と食事の間にお口の中を休ませる必要があります。
プラーク中のpHは食事のたびにむし歯になる危険ゾーンに下がりますが、唾液の働きで元に戻ってきます。規則正しい生活をしているとむし歯危険ゾーンより健康ゾーン方がはるかに長いので、むし歯になる危険性は少ないです。
規則正しい食生活のポイント
- 食事の時間や回数を決める(食べていない時間が必要です)
- 寝る前に飲食しない(寝ている間は唾液の量が少なくなり、むし歯危険ゾーンの時間が長くなるためむし歯になりやすいです。)
- よく噛んで食べる(何回も噛むことで、唾液が多く出て食べかすや細菌を洗い流します)
歯周病
中高年では、半数以上の人が…
憂うつな口臭や腫れた歯ぐき、歯ぐきからの出血…。
45~54歳代では、日本人のほぼ60%の人が歯周病だそうです。
じわじわと進行して、最後には歯が抜けてしまいます。
手遅れにならないうちに正しい治療を受けましょう。
- どんな病気?
- 歯ぐきが化膿性の炎症を起こす病です。最初のうちは痛みもないので、放っておくと進行して、口臭や腫れが出ます。末期には歯がグラグラになり抜けてしまいます。
- どうして罹る?
- 歯と歯ぐきの間にたまる歯垢(食べカス)が細菌を繁殖させて歯周病を引き起こします。また、ストレスや噛み合わせの不具合も原因になると言われています。
- 中高年に多い?
- 歯周病の有病率は、18~19歳で6%、30~44歳で36%、45歳以上では58%にもなり、45歳以上では特に男性の方が女性より有病率が高くなっています。
- 症状は?
- 歯みがきで血が出る、歯ぐきが腫れる、口臭がする、歯の根元が出てくる、いわゆる隙っ歯になる、歯が動いて噛みづらい、歯がグラグラになり抜けてしまう、です。
歯周病は人に感染する病気でもあります。
歯周病は、唾液によって細菌が感染するので、親子または夫婦、恋人などに伝染していきます。
食器の使いまわしや食べ物の口移し、キスなどでも感染する、実は怖い病気なのです。
歯周病治療の流れ
1. 応急処置
必要な場合に行います。歯肉が腫れている場合には…。
1)汚れ(プラークなど)の除去
2)排膿
3)咬み合わせ調整
4)投薬
などを行う場合があります。
2. 検査(1)・インフォームドコンセント(同意)
1)歯周ポケットの測定
2)出血の有無
3)歯石沈着度
4)歯の動揺度
歯周病の検査を行います。
現在の口腔内状態について説明し、今後の歯周治療の流れ・必要な処置内容・治療期間を把握してもらった上で始めていきます。
3. プラーク・コントロール
プラーク除去の大切さをお話し、患者さんの歯磨きや口腔内の状態を把握し患者さんに合ったブラッシング法を指導します。
4. スケーリング
歯肉縁上の歯石を専用の器具・機械を使用し除去します。
5. 検査(2)
歯肉縁上歯石を一通り除去したところで、歯肉がどの程度健康を取り戻しているかを検査します。
- 結果良好 ⇒
- メインテナンス9へ移行。
- 結果不良 ⇒
- 歯磨きが出来ていない・縁上歯石の取り残しがある場合。
…3・4へ戻る。
歯肉縁下歯石付着のため炎症が改善しない場合。
…6へ移行。
6. スケーリング・ルートプレーニング(SRP)・(P-cur)
必要に応じて局所麻酔を行い、歯肉縁下歯石の除去・プラークや歯石によって汚染された病的なセメント質を除去して、歯根の表面を滑沢に仕上げます。
7. 再評価検査
検査(2)で良好な結果が得られなかった部位の改善状況を確認します。
- 結果良好 ⇒
- メインテナンス9へ移行。
- 結果不良 ⇒
- 歯周外科手術8へ移行。
8. 歯周外科手術
これまでの治療で改善しなかった部位に対し行います。
病気の原因が目で確かめられるよう歯肉を切開して、根の先の方や根と根の間にこびりついていて取れなかった歯石を除去し、滑沢にします。
この他にも様々な術式があり、症状に応じて使い分けられます。
しかし、どんなに新しい治療法を用いても、手遅れの歯周病は治療できません。
9. メインテナンス
歯周病治療は終わってからが肝心です。時間をかけ治療し健康な歯肉を取り戻したのですから、この状態を維持していくことが大切です。
月日が経過してしまうと、治療前の歯肉に戻ることがあります。
治療した歯を長く健康な状態で維持するために当院では3ヶ月~6ヶ月の間で来院してもらい、お口のチェック・クリーニング・定期検診を行っています。
通院回数も少なく、また虫歯などの早期発見に繋がります。
歯周病が誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を引き起こす!?
誤嚥性肺炎とは?
食べ物など、食道を通るべき物が誤って気管に入り(誤嚥)、そのために生じる肺炎のことを指します。
何故肺炎を引き起こすのか
食べ物はお口の中から吸収されます。そのお口が歯周病などの病気にかかっていると、その病原菌(プラーク:ばい菌)も一緒に食道へ向かってしまいます。
そういったばい菌が、誤って気管に入ってしまうと肺炎を引き起こしてしまうというメカニズムです。
誤嚥性肺炎の予防
この肺炎の原因が、お口の中にあるばい菌なのですから、やはり歯医者でのお口のケア【歯周病治療】が一番効果的な予防法です。
また、歯周病は生活習慣病ですから、毎日食後に歯磨きをキチンとしたり、うがいをするといった【お家でできる歯周病対策】がそのまま【誤嚥性肺炎の予防】につながるのです。
お年寄りは特に注意が必要です
また、この病気は嚥下反射(えんげはんしゃ:間違って飲み込んでしまわないように、反射的に呼吸を止めて食道の方へ飲み込もうとする身体の働き)が鈍くなりやすいお年寄りの方に多く見られるという特徴があります。誤って飲み込むこと自体を予防する為の嚥下リハビリ(飲み込む練習)も必要になってきます。
TCHとは
TCHとは、"Tooth Contacting Habit"(歯列接触癖)の略で、上下の歯を"持続的に"接触させる癖のことです。
「歯ぎしり」や「くいしばり」など強い力とは違い、弱い力が持続的に作用することで顎関節や咀嚼筋群に負荷がかかり顎関節症の原因の1つになります。弱い力でもアゴに及ぼす影響は大きいのです!