摂食嚥下リハビリテーション
嚥下とは
食べ物を口に入れて噛み、飲み込み、食道から胃に送るまでの過程を、摂食・嚥下といいます。 この運動は、口の中だけでなく様々な部位が協調して行われています。
嚥下のしくみ
摂食嚥下障害
脳卒中や脳神経系や筋肉に障害を生じた場合、嚥下の一連の動きに支障が起こるのが摂食嚥下障害です。
また、高齢になると全身機能の衰えに伴って嚥下機能も低下し、誤嚥を起こしやすくなります。
こんな症状が一つでも当てはまれば要注意!
- よく熱を出す
- 食事の好みが変わった
- 食べる量が減った
- 体重が減少した、しんどさがある
- 食べられない、飲み込めない
- 食事中や食後にむせ込みや咳が多い
- よく咳が出る、寝ている時に咳込む
- 食後に声がかすれる
- 喉の違和感や残留感がある
- 食事時間が長くなった
誤嚥
誤嚥とは
喉の奥には空気の通り道である気管と、水分や食べ物が通る食道が並んでいます。
嚥下がうまくいかなくなり、水や食べ物、唾液、胃液などが誤って気管に入ってしまうことを誤嚥といいます。
誤嚥性肺炎
誤嚥したものが肺に入り込むと、細菌が増殖して肺炎を起こすことがあります。
これが誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎には、通常食道へ行くべき食べ物が誤って気道へ入ってしまうことが原因であるものと、お口の中の唾液を飲み込む際などに、その中の細菌が誤って肺に入ってしまうことが原因で起こるものの2種類があります。
体が弱った高齢者などは命取りになることもあり、注意が必要です。
誤嚥のしくみ
- 通常食道へいくべき食べ物が、誤って気管へ入ってしまう
- お口の中の唾液を飲み込む際などに、唾液中の細菌が誤って肺に入ってしまう
- (免疫力の低下)
- 誤嚥性肺炎
気付かれない誤嚥(不顕性誤嚥)にも注意!
人は何かを誤嚥すると、むせたり咳込んだりして吐き出そうとします。
しかし、加齢により気管の感覚が鈍くなったり、その周囲の筋力が弱くなったりすると、むせや咳で誤嚥を防衛する力も落ちてきます。食事中だけでなく、食事のあとや寝ている間などに、唾液や食べ物の残り、逆流した胃液などを少量ずつ、むせることもなく誤嚥してしまう場合もあります。気付かれにくいだけに注意が必要です。
むせを防ぐには?
嚥下機能の低下を防ぐ
簡単な体操を行うことによって、食事に必要な口・舌・頬などの筋肉を刺激し、唾液の分泌を促し、飲み込みにくさやむせ返りの軽減が図れます。
食事内容を工夫してみる
物をかみ砕くのに問題がある場合
きざむ、軟らかく煮る、マッシュポテトのように押しつぶした状態にする、などで食べやすくします。
噛んだものを再度まとめるのに問題がある場合
口の中でまとめることができないので、細かく刻んだものは逆にパラパラしてむせやすくなります。
一口大に切る、軟らかい状態にする、とろみをつけるなどします。
嚥下に問題がある場合
固形物でむせることと、水でむせることがあります。
固形物でむせる場合は、軟らかくしたり、とろみをつけたりすると食べやすくなります。
- ※とろみがつけられる増粘剤は市販されています。
- ※唐辛子の辛味成分「カプサイシン」が嚥下機能を改善してくれるため、唐辛子を含んだ食事がよいと言われています。
誤嚥しやすい食べ物
弾性がある
もち・かまぼこ・こんにゃく・飲むゼリー・寒天製ゼリー
パサパサして水分が少ない
ゆでたまご・焼き芋
水分が多い
汁物 など
食事の時の姿勢
食事の際は、前かがみの姿勢をとりましょう。
上向きでは飲み込みにくく、また気道のふたが閉まる前に食物が滑り落ちて誤嚥する危険性があります。
胃液の逆流を防ぐためにも、食後は最低でも30分は座っておきましょう。
軽く散歩もいいです。
誤嚥性肺炎
口の中は肺や胃腸の入り口です。適度な湿度と温度が保たれている口の中は細菌にとって居心地よく、歯磨きやうがいを怠るとすぐに細菌が繁殖します。そのため、歯磨きや義歯の洗浄をしっかり行い、舌も清潔にして口の中の細菌を繁殖させないこと、そして、肺へ運び入れないことが重要です。
食事をしていない口は意外と汚れていますので、食べていなくても歯磨きうがいは行いましょう。